July 13, 2008

昨夏の金融危機より前、レバレッジ型金融は、あらゆる債権債務を証券化することによって、世の中の金回りを格段に良くして、世界を「金あまり状態」にした。金あまりで資金調達コストが下がったので、企業は倒産しにくくなり、倒産や破綻のリスクが減り、債券の金利が下がった。この「リスクプレミアムの低下」を背景に、格付け会社は最優良AAAの太鼓判をどんどん押せるようになり、AAA格が増えた分、企業の資金調達が拡大し、さらに世界の金あまりに拍車がかかるという、金融界にとって好循環が続いていた。

 昨夏の金融危機は、この好循環を根底からくつがえした。投資家たちは「金融危機になったら格付けは無効になる」という、見てはならないものを見てしまった。また後述するように、債券の破綻に対する債務保証(CDS)も「破綻が増えると保証不能になる」というネズミ講状態が暴露された。

 格付けの信頼性は吹き飛び、投資家はリスク評価ができなくなり、リスクプレミアムは高騰した。短期で金融市場から資金調達して長期で運用していた投資銀行やヘッジファンドは、資金調達コストが急上昇し、赤字転落や大幅減益に見舞われた。レバレッジ型金融は、一気に儲からなくなった。前回の記事で紹介した、6月上旬のイギリス銀行協会会長の「レバレッジの急拡大で儲ける経営モデルが破綻し、伝統的な経営モデルに戻らざるを得なくなった」という宣言は、このような背景で発せられた。