July 12, 2008

動物にしばしば見られる現象に、超常刺激への過剰反応というものがある。卵を産んだガンは、卵が巣から転げ落ちると元に戻そうとして自分の方に引き寄せる。だが、陶器やプラスチックでできた特大の人工卵やテニスボールを本物の卵と並べておいておくと、人工欄やテニスボールの方を引き寄せるのである。これは、「巣から転がり出た卵形の目立つ物体を巣に戻せ」というのが、彼らに与えられている行動プログラムだからだ。自然界には、テニスボール大の卵なんてない。そんなものを(人間という)他の生物がわざわざ作ってガンの前に運んでくるなんて、たかだかここ数十年のことでしかない。だから、ガンにはそんな現象に対処するプログラムは必要なかったのだ。

不必要なものは進化しない。起こりえないことに対処するような不経済は、自然選択が許してくれない。自然界に存在しないからこそ、ガンは特大の人工卵を引き寄せるのである。人間も生物だから、超常刺激には弱い。脂っこい食べ物や甘すぎるお菓子など、ガンにとってのテニスボールみたいなものである。偽物の卵をせっせと巣に戻そうとするガンのことを、間抜けだとあざ笑うことは難しい。